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『菊池聡「超常現象の心理学―人はなぜオカルトにひかれるのか」』 (6.28.2004)

  

  

  

 以下の文章は上記「超常現象の心理学―人はなぜオカルトにひかれるのか」という本を立ち読みした備忘録を転記したものである。
 若干、原書との差異はあるかもしれないことをあらかじめ明記しておく。


 オカルトは世間的には黙殺するのが常となっている。UFOは存在するのか。霊は存在するのか。胡散臭い。臭い物には蓋、である。
 オカルトの否定すべきところはどこなのか? それは霊能師などと呼ばれるオカルティストの姿勢である。

「何故、霊が存在すると分かるのですか?」

「私には分かるのです」

 彼らに理屈はない。ただ結果があるだけだ。身体の調子が悪いのは霊の所為である。墓参りをちゃんとしてないからである。その理屈に道筋はなく、ただそう決まっているのである。理由はないのである。


 この態度はあまり好ましいものではない。その理屈がまかり通るなら、この世の中、何でもアリということになってしまう。この態度は誰にも認めてなどもらえない。彼らの理屈は頭が止まっていると言わざるを得ない。考えることを放棄している。それは傍から見れば阿呆面で歩いているようなものだ。
 しかし、嘘も方便。末期症状の患者に真実を伝えないことが果たして責められる事だろうか。多くの人はそれを悪いこととは言わないはずだ。ではオカルトも同じではないのか。あれは所詮「信じたい人には信じさせたらいいんじゃないの?」という程度のものではないのか。
 その無関心がほとんどの人のとっている態度だろう。しかし、その無関心がオウム真理教のような存在を存在さしめたともいえる。否、むしろこれは本論ではない。もっと問題なのは、宗教やオカルトを信じたあまりに発見が遅れてしまい、早期発見していれば治療可能であった病気が手遅れになることだ。彼らは精神的安楽はもたらしてくれるかもしれない。だが、それは根本的解決にはならない。ただの小手先だましなのだ。


 オカルトは科学的論理が行き届いていない部分を追求する考え方だ。それを否定することはない。だが、今オカルトをわめいている人種の姿勢は認めるわけにはいかない。

「私の霊能力を否定すると言うことは、人類の長きに渡って作られてきた宗教や信仰、心理学を否定することになるのですよ」

 ある霊能者と呼ばれる人間がこういったという。…まったく、話にならない。頭の止まっている霊能者を騙る人間を否定して、なぜすべてを否定したことになるのか。何様のつもりなのか。
 


 血液型性格判断というものがある。これは浸透して久しいが、根拠はない。政治家にはB型が多い、プロ野球選手にはO型が多い。これらは嘘である。よく調べてみたところ、『政治家』は衆議院の〜党の〜派に限った結果であった。しかもその調査から時代がたった今では、その理論を支えるものはカケラもなくなってしまった。プロ野球選手にしたって同じことだ。結論にふさわしくないデータは削って、ある傾向のあるグループのみを残す。
 また、「B型は〜〜な傾向がある。これは(有名人の名前)を見ればよくわかる」といった理屈も、一瞬納得してしまいそうだが、だまされてはいけない。これは「新潟県民は背が高い、これはジャイアント馬場を見ればよくわかる」といっているようなものである。
 また、これだけ広まっていると否定する人間も少なからずいるわけだが、その反論も少しおかしい。
 「そもそも人間を4種類で分けているのがおかしい」?そんなことはない。確かに境界がハッキリしないが、理屈的に人間を4種類に分けて正当性が認められるケースもある。
 指摘しなければならない問題は、血液型という分け方に根拠がないと言うことだ。この根拠を説
明している文書がいくつかあるが、それらはすべて調査や統計の取り方に不自然な点が存在する。


 UFOとの遭遇のうち、95%のケースが見間違いや、精神的な錯覚だったことが判明した。しかしここでオカルティストたちは自信たっぷりに言う。

「しかしあとの5%ははっきりしない。それが宇宙人であるということを否定は出来まい。科学では証明できていないんだから」

 ならば、彼らにこういってやればいい。

「そうだね。じゃあ、あとの5%はぶんぶく茶釜のたぬきが手足を出せなくなって空を飛んでいるという可能性も否定できないよね。だって、カガクではショウメイできないんだから」


 この人、かなり好きかも。
 相手をコケにする言い方がうまい。
 お金がなくて手が出なかったけれど、買って損はないと思う。個人的に。

 音無も確かに『オカルト』と聞けば『蓋』をしてきた。
 血液型診断の信頼性について『たった4種類で』などという反論をしてきた。
 この本はそういった「無関心」さを嗜める良い機会になる思う。

 音無は、こういう「筋の通った」考え方が大好きだ。(森博嗣しかり。)

 

 

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